電池について

プラレールにつきまとう大きな問題のひとつは、電池代がかさむことです。
そこで、少しでも電池代を浮かすために『エネループ』などの充電池(蓄電池)を使っているご家庭もあることでしょう。

しかしながら、タカラトミーでは、プラレールに充電池を使用することを推奨していません。
それはなぜかというと、そこに危険が潜んでいるからなのです。そこでこのページでは、この充電池の危険などをはじめとした『電池』について簡単な解説をしてゆきます。
一般的な電池の知識以外にエネループや電池スペーサーについての記述もしていますので参考にしてください。

もうひとつの問題は、スピードが出ない・牽引力が弱いってことですが……モーターの問題なのでこちらのページ

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  1. 電池の種類と性能
  2. エネループ

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  1. 電池スペーサー

電池の種類と性能

電池は大きく分けると、使いきりタイプ『一次電池』と充電して繰り返し使うタイプ『二次電池』の2つに分かれます。
一次電池の代表的な物は、いわゆるマンガン電池やアルカリ電池です。
二次電池の代表的な物は、エネループや携帯電話のバッテリーです。

以前は繰り返し使う蓄電池を充電する方法が、乾電池から充電する方法しかなく、充電する側の電池を一次電池、充電される側の電池を二次電池と区別していた名残で、今も一次電池、二次電池という分類をしているそうです。

一次電池

マンガン電池
+極:二酸化マンガンMnO2
−極:亜鉛Zn
電解液:塩化亜鉛水溶液ZnCl2(以前は、塩化アンモニウム水溶液NH4Clが使われてた)
初期電圧:1.6V(円筒形)
公称電圧:1.5V(円筒形)
終止電圧:0.9V(円筒形)
アルカリ電池(アルカリマンガン電池)
+極:二酸化マンガンMnO2
−極:亜鉛Zn
電解液:水酸化カリウム水溶液KOH
初期電圧:1.6V(円筒形)
公称電圧:1.5V(円筒形)
終止電圧:0.9V(円筒形)

この他に、ボタン電池(コイン電池)やオキシライド電池も一次電池になります。

二次電池

ニッケルカドミウム電池(ニッカド電池)
+極:オキシ水酸化ニッケルNiOOH
−極:カドミウムCd
電解液:水酸化カリウム水溶液KOH
初期電圧:1.4V
公称電圧:1.2V
終止電圧:1.0V
ニッケル水素電池
+極:オキシ水酸化ニッケルNiOOH
−極:水素吸蔵合金M
電解液:水酸化カリウム水溶液KOH
初期電圧:1.4V
公称電圧:1.2V
終止電圧:1.0V

エネループはこれにあたります。

リチウムイオン電池
+極:リチウム複合酸化物(コバルト酸リチウムLiCoO2やマンガン酸リチウムLiMn2O4など)
−極:炭素(ハードカーボン)Cなど
電解液:非水系有機電解液(ヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6やホウフッ化リチウムLiBF4などのリチウム塩)
※平均電圧:3.3V - 4.2V

携帯電話やノートパソコンの電池はこれにあたります。

用語の補足
初期電圧:新品または満充電した直後の電圧
公称電圧:通常時に得られる電圧(電池に表記されている)
終止電圧:電池が使えなくなる(機器を作動させることができない)時の電圧

電池の危険性

電池につきまとう危険性は、液漏れ、破裂、発熱の3つです。

感電もありえますが、大量に直列接続してあるものを直接ベロで舐めたら危険というレベルなので、普段使いで感電して危険な状態になることはまずありません。

液漏れ、破裂、発熱

液漏れや破裂、発熱の原因は、過放電や(過)充電です。
(ここでいう“(過)充電”とは、充電して使わない一次電池に充電してしまうことと、二次電池を必要以上に充電してしまうことの双方を指します。)
過放電や(過)充電になると、電池内部で水素ガスが発生します。これは電解液から生じるものなので防ぎようがないのです。
この発生した水素ガスが外部へ逃げ出すことができないと、電池が破裂します。

ただし、最近の日本製の電池であれば、この破裂を防ぐための安全弁が備え付けられていますので、めったなことでは破裂しません。
携帯電話の電池に関しては破裂した例はたくさんありましたが……。

この安全弁によって、水素ガスは電池外部へと出てゆくのですが、これと同時に電解液も電池外へと出てしまうのが液漏れなのです。

この漏れ出た電解液は強アルカリ性で、皮膚についたり目に入ったりすると危険ですのでご注意ください。電解液というよりも、塩みたいな白色の結晶化した状態のものと表現したほうがわかりやすいかもしれません。とにかくあれが危険です。

ちなみに、この電解液は金属を腐食させる性質があるため、機器にダメージがあるかもしれません。
腐食の程度が軽ければ端子部分(たとえば動力車の電池が触れる金属)だけの損傷で済みますので、そこに付着している電解液(結晶など)をブラシやヤスリ等で削ってお手入れすれば、機器を作動させることが可能になります。

ただし、お手入れの際には、ゴム手袋やマスク、ゴーグルを着用し、肌や目を守るようにしてください。

ご自分で安全か危険かの判断ができない場合には、廃棄処分したり、タカラトミーのサポートまで連絡をして指示を仰いだりするなどの対処をしてください。

過放電や(過)充電を防ぐには

過放電とは、終止電圧以上に放電させることです。
厳密にいえば少し違いますが、機器が動作をしなくなった場合、その時使用していた電池は終止電圧に達しています(完全放電)。そして、そのまま電池を接続していると機器は動作しませんが、電気は流れ続けています。これが過放電です。

プラレールの場合だと、電車が動かなくなったのにそのままスイッチを入れっぱなしにしておくことによって、過放電状態になります。

これを防ぐために、使い終わった電池はすぐにはずさなければなりません。
たとえ新品の電池を装着した直後であっても片づけをする際には、電池を取り外しておきましょう。プラレールのスイッチは小さな力で切り替えできるので、何かの拍子にスイッチが入って電池を使いきってしまうことだってありえます。

過放電になるにはもうひとつの原因があります。

それは、異なる性能の電池や使用状況の違う電池を一緒に使うというものです。
これを行うと性能の低い側や使用状況が著しい側の方が過放電を起こしてしまいます。

サウンド車両や情景部品で電池を2本使用するものがありますから、このことに注意しましょう。遊び終わった後は、2本の電池を同じ容器などに入れて保管し、他のものと混同して使わないように管理してください。
(ちなみに私の場合は、混同して使わないように小袋に小分けして保管しています。)

プラレールの場合だと、電池を3本以上で用いることはまずありませんから、(過)充電に関する問題は特に気にすることはないでしょうけども少しだけ触れておきます。

実は、一次電池(マンガン電池やアルカリ電池)であっても充電は可能です。しかしながら、充電して使うような仕組みにはなっていないので、これらを充電してはいけません。
一次電池を充電器にかけないというのは当たり前ですが、気づかないうちに充電してしまうことがあるのでこれに気をつけなければならないのです。

これは、+−を逆さまに取り付けてしまうと発生してしまいます。
電池3本を使う機器を例に出すと、1本が逆さまにつけられていた場合、正常に取り付けられた2本の電池から電気が流れて、逆さまになった1本は充電されるのです。
充電される仕組みになっていない電池が充電されてしまうので、電池内部でガスが発生し、液漏れや破裂といった事故につながるのです。

二次電池における過充電もありますが、通常の充電時における過充電は充電器の種類によっては防止できるものがあるので、過充電防止装置付きの充電器を選ぶようにしてください。
そうでないものの場合は、機器の説明書をよく読んで、充電時間を守るようにしてください。

上で、一次電池の場合は、+−を逆さまにしてはいけないと書きましたが、2次電池場合でも同様です。
充電されることが前提のつくりですが、あくまでも専用の充電器を使って充電するという仕組みなので、その他の方法での充電をしないようにしてください。

発熱

プラレールでの使用で一番気になる問題が発熱かもしれません。
動力車の車輪を手でおさえて無理やり動きを止めさせたり、車両をいくつもつないだりした場合に電池が熱くなる場合があります。

これはおそらく、過電流が発生していたからだと思われます。
過電流とはそのままの意味で、通常より多くの電気が流れてしまった状態です。モーターに大きな負荷がかかったために発生するものです。

このときマンガン電池やアルカリ電池の場合だと、多少熱いと感じる程度であって、長時間握っていない限りヤケドをするようなことはまずありません。その他、電気の消耗度合いが大きくなるといった程度の捉え方で充分です。ちなみに、マンガン電池に比べればアルカリ電池の方が発熱の度合いがおおきいです。
しかしながら、これが二次電池(充電池)の場合は、かなりの注意が必要です。

二次電池の性質上、一度に大きな電流が流れさらに一定の電圧が維持されたままになるため、異常な高温になり下手をすると発火するかもしれません。さらに破裂を伴う液漏れが起こることも考えられ大変危険です。
これを防ぐためにも充電池は使用しないほうがよいでしょう。タカラトミーでも二次電池の使用は禁止しています。

発熱の原因のもうひとつにショート(短絡)というものがあります。厳密にいえば、これによって過電流が発生しそれに伴い発熱をします。
簡単にいってしまうと、電池の+極と−極に間に抵抗となるもの(たとえばモーターや電球)が何もなく直接的に線で繋がれた状態のことです。ショート回路といったほうがわかりやすいかと思います。

電池がへこんでいたり電池の外装がはがれていたりした場合や、プラレールの電池が接続する部分に別の金属製のものが接触していたりするとこれになる可能性があります。

日常的によくある話としては、ポケットやカバンなどに、電池と小銭やヘアピンなどの金属を一緒に入れていたらいつのまにか電池が熱くなっていた、というのがこのショートによるものです。

エネループ

プラレールで充電池を使う危険性について理解されたとは思いますが、それでもやっぱり充電池を使いたいって人には、『エネループ プラス』を紹介します。
これは、電池の温度上昇が50℃以下に抑えられるよう設計されたもので、「お子様が使うおもちゃなど高い安全性を求められる用途に最適です。」とうたわれています。

これを使えば、いくらかは危険度が低くなることでしょう。
ただし、遊び終わった後に電池を取り外すということだけはしっかり守りましょう。

・・・と、他人にはエネループプラスをおすすめしていますが、私は安全管理に気をつけているので、通常のエネループを使用しています。

エネループの1.2Vって?

マンガン電池やアルカリ電池の電圧が1.5Vであるのに対して、エネループの電圧は1.2Vです。
エネループを使った場合、何が違うのか(何に影響があるのか)というと、プラレールの場合は引っ張る力が弱くなったり速度が遅くなったりします。

「じゃあマンガン電池やアルカリ電池の方がいいじゃん!」って声がありそうですが、電池の特質を知るとそうは言えないかもしれません。

マンガン電池やアルカリ電池は、新品(作りたて)の時は1.6Vあり、使用してゆくうちに徐々に電圧が下がり0.9Vに達すると使えなくなります。
エネループの場合だと、満充電の直後はおよそ1.4Vで使用後比較的すぐに1.2Vまで電圧が落ちます。しかしながら、その後は電池が使えなくなるちょっと前までずーっと1.2Vを保ち続けます。そして1.0Vぐらいに落ち込み完全放電状態(終止電圧)になります。
下のグラフみたいな感じだと思ってもらえればOKです。
電圧と放電時間
(適当につくったグラフなので、電池容量や環境によっては、グラフのようにならない可能性があります。)
追記:このグラフだと、ニッケル水素電池の優位性を強調しちゃった感があります。ゴメンナサイ

簡単にいえば、初めは速いけど徐々にスピードダウンしてゆくのがマンガン電池やアルカリ電池、はじめから最後までそれなりの速度で長時間走り続けられるのがエネループ、といった感じです。

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